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2005年06月26日

バトン

[ 音楽 ]

 シカトしようかとも思ったけど、複数箇所から回ってきてしまったのでこの際やっつけとく。
 この企画の形式・内容ともに疑問ありまくりなのだが、そんなこと書いても虚しいので省略。

* Total volume of music files on my computer
 (コンピュータに入ってる音楽ファイルの容量)

 多すぎるのと複数のPCに分散してるせいで把握不能。100GBは確実に超えてる。
 かつては綺麗に分類してデータベース化していたのだが、メインにしていたHDDがちょっと前にクラッシュしてしまって、作り直す気力が失せたままバラバラになってる。

 なぜこんなに多いのかと言えば、まだMP3がアンダーグラウンドなイメージであった頃から溜め込んでいたから。入手したCDは片っ端からエンコしてPCに入れていた。
 当初の動機としては、CDが多すぎて場所を取っていたというのが大きい。途中で検索の容易性に気づいてそちらにウエイトが移ったのだが。

 今やオーディオ装置を完全に処分してしまい、音楽を聴く環境はPCのみになっている。CDを買ってきてもエンコードしたら速攻で段ボールの中にしまってしまうので、俺にとってはパッケージとしてのCDにあまり意味はない。よってCCCDとか論外。PCでは専用ソフトを入れないと聴けないというプロテクト形式のものもあったが、それに至っては一度も本来のクオリティで聴いていないことになる。

 圧縮してしまうと音質が多少落ちるのは仕方ないが、収納スペースの問題や検索の容易性の魅力の方が大きい。その代わりPCスピーカーやヘッドフォンにはいいものを使っているつもり。

* Song playing right now
 (今聞いている曲)

 Tom Petty - Wildflowers

 特に意味なし。ランダムでたまたま。膨大なストックがあるので、ランダムプレイにしてるとたまにビックリするような曲がかかったりして新鮮。これもまた魅力のひとつ。
 つうか、この質問こそ意味あるのか。

* The last CD I bought
 (最後に買ったCD)

 忘れた。しばらく前にドカッとまとめて買った記憶はあるのだが、どれだったか。元々新譜はあまり買わず、古い作品を中古で仕入れる方針なのでごっちゃになりやすい。

* Five songs(tunes) I listen to a lot, or that mean a lot to me
 (よく聞く、または特別な思い入れのある5曲)

 5曲なんて無理。何か縛りがないと絞れない。つうか、俺に思い入れ書かせたらウザいことこの上ないぞ。試しに1曲だけやってみるか。キモいよ?

 Jaco Pastorius - Three Views Of A Secret

 「スリー・ヴューズ・オブ・ア・シークレット」は静かなノートで始まり、軽やかにスウィングしながら荘厳なクワイアとメロディが重なっていく。しかもメランコリーをそこにたたえ、不穏なできごとが起こるのを暗示している。突然、バンドは調子を変え、スウィングし、純真で楽天的な気分に満ちあふれた快活なカルテットのセクションへと移行していく。トゥーツ・シールマンスの甘美なトーンのハーモニカがさらに清浄なタッチを加えながらこの明るいセクションへと皆を導き、ビートルズの「ヒア・ゼア・アンド・エヴリホエア」からのフレーズを織り交ぜたキャッチーでメロディックなリフでクライマックスを迎える。恋に落ち、幸せで目が眩んでいるようなサウンド。開放感、満足、心の平和に満ちたサウンド。しかしこの爽やかでアップビートな気分は、ジャコの生涯のように長続きはしない。

 あたかもジャコ自身のように曲のムードは変わり、不協和なホーン、そしてフレンチホルンの不吉な警告音が響いてくる。そのうしろでは緊迫したドラムが鳴り響き、曲は酷く不穏なセクションへと移行していく。苦悩、苦痛と混乱、助けを求める叫びのサウンド。ビッグ・バンドが入ってきて、混乱がピークに達し、再び雲の向こうに光明を見るように幸福な雰囲気に移っていく。シールマンスは華麗なストリングスの先頭に立つハメルーンの笛吹きのごとくハーモニカをうららかに吹いている。暖かく、招き入れるようなフレンチホルンが遠くの方で鋭く響き、私たちを安心させ、希望を与えてくれる。しかしそれはジャコの生涯と同じように幸福なノートでは終わらない。

 バンドはジャコの自信に満ちたウォーキング・ベースとシールマンスのハーモニカのインプロヴィゼイションとともにスウィング・セクションに移る。突然、そのミックスの中でジャコのフレットレス・ベースから二、三の簡単なノートが鳴り響く。ジャコ独特のベース・サウンドはすぐに聴き分けられる。これは非常にジャコ特有のもの、彼の第二の声のようなものだ。この曲がこの部分に行きつくと、私はいつも鳥肌立ってしまう。彼のベースの音はまるで生きているようで、ジャコが部屋の中に一緒にいるような気にさせられてしまうのだ。おそらくジャコがバラードをフレットレス・ベースで弾いているものを聴くたびに、私はいつもこうした気分にさせられるのだろう。

 最後にこの曲は初めのテーマに戻り、再び苦悩がピークに達する。葬儀のミサふうな、神聖な教会の聖歌隊のように哀愁をおびた歌声が響きわたる。私は背筋がゾクッとする。ハモンドB-3オルガンがその騒ぎの中に入ってきて、燃えるようなジミー・スミスふうのブルースを奏で、曲はフェイド・アウトしていく。この曲の六分間は、他のどの作品よりもジャコの性格を物語っている。これはまるでジャコが自分のために作ったレクイエムだ。


 以上、ビル・ミルコウスキー著・「ジャコ・パストリアスの肖像」(リットーミュージック)より。ちゃんちゃん。本当は「のだめカンタービレ」の「夢色☆クラシック」ばりのキモ文章を自分で作ろうと思ったのだが、途中で断念した。つうか、どれだけの人がここまでついて来れたか、はなはだ疑問だ。うひひひひ。
 冗談はさておき(スゲえ疲れた)、この本はマジで面白いので、ミュージシャン伝記がお好きな人にはお薦め。

 この曲だけは外せないというのも本当の話。念のため。

* Five people to whom I'm passing the baton
 (バトンを渡す5人)

 渡さない。不幸は引き受ける。

関連リンク
Tom Petty - Wildflowers
JacoPastorius.com : Essential Recordings - Jaco Pastorius: Word of Mouth

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投稿者 nagakushitan : 2005年06月26日 13:10 はてなブックマークに追加

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